dab8006c.JPG 1872年、アメリカ製リードオルガン。8’&4’、2列リード。7ストップ付。ストップの機構は特殊で「Coupler」は低い方から4オクターヴがそれぞれ1オクターヴ高い音に連結するタイプ。「VoxHumana」は、空気を下から吸い込んで下に逃がす、こうすることで動作時の空気の音が出ないように工夫されたタイプ。「SubBass」は、超デカいリード1オクターブ分が入った箱がついており、低音を豪快に分厚くできる。
 本体の装飾もいちいち手が込んでおり、塗装の剥離〜再塗装まで、本当に手間ひまかかった。このオルガンは「タンポ」で仕上げたので、平面の「鏡面感」は、美しい木目と深い色がよく出ている。
 お客様お預かりの2007年6月より、1年以上かかってしまった。通常どんなに時間がかかっても1年以内にお返しするようにして来たが、このオルガンは、とにかく難しい修理だった。
 こうして直ってみると、その音色は、136年前のもの、重厚でつやつやして、何気ない旋律もきらめいて聞こえる。袋はりは今まででもっとも持ちが良く、組入前で20分以上保っていた。やっぱり、素材が良いのかな〜。こんな名器を、自分でも欲しい!と思った。明日、長野県岡谷市に納品。


このオルガンの修理の様子は、才気堂HPにて順次載せていく予定です。

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