ピアノ調律師「才気堂」

「才気堂」とは、古い楽器を「再起動」するという意味です。 あらゆるピアノ、リードオルガン等鍵盤楽器を修理再生&調律します。

2020ワニ牛紺楽譜鞄

ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その1

きっかけは、調律師仲間から
カタログと領収書とスマホが入る
鞄作って!、という一言から、、、

ピアノ調律師は「工具鞄」は人それぞれ
様々な鞄を持っているが、できれば
それとは別にカタログなどの書類と
領収書、見積書などが入る鞄があると
便利かなぁ、と、私自身も思っていた。

が、デザインも何もかも漠然とした中で
「ハイ!できました!」と出来るわけもなく
とりあえず適当に何でもいいから作れば
それを気に入ってくれる、筈もない。

そこでまず「試作品」を作ることにした。
とりあえず「カタチ」にしてみて、
それを元に「ここはこうしたい」などと
意見を盛り込んで、それから依頼されて
作れば良いのである。

とにかく、具体的なものがないと
何も始まらない、

ということで、まずはラフスケッチ!
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縦型、横型2つの案。
かぶせ(ふた)用の革はだいぶ前から
ワニ型押しの牛革と決めて買ってある。
今回、本体も濃いめの青、にして、
糸は水色、でやってみよう!と決意して
なかなか買ったことがない牛革の「半裁」を
浅草橋で買ってきた。

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ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その2

革鞄をカタチにするには
まずは設計図、、

そしてそこから「型紙」を
作っていく。

暗中模索、五里霧中の中、
先に前胴のポケットを作る
ことからスタート!
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スマホが入る部分は普通にポケット
領収書が入る部分はファスナー式に
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ポケットの革と芯材を並べて
考えたり迷ったり、、、
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迷いながらも走り出した。

ポケットの前面の周囲を漉いて
芯材を貼って、周囲にマチを縫う。
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イメージが掴めないので、
カレンダーの紙で原寸大の
模型を作ってみた。 

本体には楽譜がピッタリ入れば良い。

何センチ分入れるか、迷って、
とりあえず70ミリで、、
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蓋のデザインは、もちろん
グランドピアノ!
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製作1日目は、半分くらいが
悩んだり迷ったり困ったり
しながら、紙で原寸大模型に
何度も触れて、、、

とにかくポケットを
縫ってカタチにしたい

革で何かを作る時、
時間を忘れて夢中になれる。
正月、元旦、、

作業は深夜まで続いた、、





ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その3

前胴ポケットの製作

まずはカットした革の裏面に
ボンテックスという芯材を貼る
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更に裏革として山羊の黒スエードを
貼る。表革より3ミリほど小さく
切ったもので、縫い合わせた時に
縫い目にかからないようにする。
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上辺は「へり返し」する。
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目打ちで印をつけ菱キリでひとつずつ
穴を開けていく。
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青い革に水色の糸、、
売ってなさそうな色使いで
素敵な鞄になりそう!
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ポケット前面に、マチを縫い付ける。
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更にファスナーを縫い付ける。
こちらのポケットには、
隣のスマホ用ポケットのラインが
伸びてグランドピアノの譜面台の
カーヴを描くラインを飾りに
縫い込んだ。
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前胴にポケットを縫い付ける。
革特有の性質で、角の部分は、
革を伸ばして合わせながら縫う。
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ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その4

前胴にポケットを縫い付けたら
蓋の止め金具を付けて、裏に金具を
隠す革を貼り、金具の周囲に
アップライトピアノのハンマーの
形にステッチを入れる。
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ファスナー部分を最初に縫って、
それから周囲を縫う。
後から思いついたペン差しも
付けてみた。
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今回の鞄は、重い楽譜を満載しても
良いように、厚手の芯材を入れる。
ボンテックスの特厚のものを貼った。
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ポケットは、端を脇に回り込ませる
ことでファスナー全開が可能になり、
領収書サイズがすんなり入るように
なった。
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前胴上辺には革を当てて縫った。
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現在進行形の作業現場の図
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ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その5

重い楽譜を満載しても良いように
補強とデザイン性を考慮して、
肩ベルトがぐるっと底を回る
設計にした。

まず、ベルトの中に床革で芯材を
入れて貼る。
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床革はへりを漉いて、角の部分は
切って三分割で貼る
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ベルトのへりを貼ったら、
まず真ん中に縫い目を入れて、
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そのあと両側に縫い目を入れる。
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角の部分は縫わずに、
直角に折り曲げた状態で
3面に3本ラインを
縫っていく、、、


ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その6

今回の鞄は、フタ(かぶせ)の
部分にワニ型押しの牛革を使用。
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いわゆる「ワニ革」ではなく、
牛革にワニの模様を型押ししたもの。
みんながワニ革だと思ってる
バッグのほとんどがこの手のもの、、
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見栄えの良い方向、部分を選んで
型取りした。
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フタになると、こんな感じ、、、
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ポケットにかぶさると、こんな感じ、、
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フタの手前の部分に芯材を貼る。
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裏革に黒スエードを貼ったら
周囲を縫う、、、
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縫い終わり、、、
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ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その7

背胴には補強を兼ねて、A4書類
サイズのポケットを付けてみた。
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ポケットにも、背胴にも芯材を
入れてあるので、物凄い強固感!
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背胴に黒スエードで裏革を貼り、
フタと縫い合わせる。
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改めて楽譜をあててみて、サイズを
確認したら、楽譜を満載した時に
フタが閉まらないことが発覚!

急遽、背胴の下部に20ミリ継ぎ足す。
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ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その8

ベルトの角カンが入る所は、
カシメで止める。青に金色が映える!
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本体マチと3本ラインで縫い合わせ、
角カンの当たるところにも補強を
兼ねて1本縫い目を入れる。
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手縫いの作業は、30センチ
縫うのに1時間くらいかかる。
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なぜ3本線かというと、
ピアノの弦が1音につき
3本ずつ張ってあるからです。
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硬めの厚めの芯材を入れてあるので
カタチもしっかり!
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ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その9

前胴とマチを縫う。
マチの幅は最終的に60ミリにした。
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平面を縫い合わせて立体にするのは
革特有の技法だが、上手く合わせる
のは非常に難しい。
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前胴とマチが付いた状態。
内張は山羊の黒スエードが全体に
貼ってあるので、高級感200点満点!
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背胴を縫い合わせたところ。
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左からA4判、
全音判(一般的な楽譜サイズ)
コルトー版のショパン判
これらのサイズ全てに対応している。
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ピアノ関係者専用楽譜鞄を作る その10

肩ベルトの作成。
幅50ミリにするために、
62ミリで切ってへりを5ミリ
ずつ返し折りして貼る。
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更に床革で裏張りをして厚みを
持たせて、裏革に肌触りの良い
鹿革を貼る。
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3本線の縫い目を入れて、
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本体にカシメで止めた後、
更に補強の縫い目を入れる。
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完成して、リードオルガンと
記念撮影。
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深夜のため、画像が暗い、、、
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明るいところで見ると
こんな感じ、、、
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製作時間48時間、、
出来栄えは82点くらいだけど、
本革のホンモノ感はハンパないっす!

鹿革を使った肩ベルトは、
使い始めからいきなり馴染む感じで
贅沢感満点!!
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